クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
彼が指さしたのは立派なタワーマンションだ。


「こんなすごいところ……」

「買ったはいいけど、忙しくて寝に帰ってくるだけなんだ。って、帰ってくるのも面倒で病院に泊まったりもしてるけど」

「そうなんですか」


やはり忙しいらしい。


「目の前に患者さんがいるのに、時間になったから帰りますとは言えないだろ?もちろんそんなつもりは毛頭ないけど」
「わかってます」


彼がそんな人だったら、あの事故のときだって助けてくれなかっただろう。


「部屋も空いてるし、なんだったら吉木さん好きに使っていいよ。家賃もいらない」
「そこまでしていただかなくても」


彼は頼れる家族もいない私の切羽詰まった状況に同情しているに違いない。

けれど、偶然かかわっただけの私にそこまでする必要はないのに。


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