クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
「……はい」


緊張や発熱のせいで喉がからからだ。

それを察したのは、気がつく人だからなのか医者だからなのかわからないけれど、とても助かる。

私をベッドに横たわらせた彼は部屋を出ていき、すぐにミネラルウォーターとグラスを持って戻ってきた。


「堀田先生、なにからなにまでありがとうございます」


とにかくお礼を伝えなければとそう口にした。

すると彼は眉をひそめる。

やはり横になったままでは失礼だっただろうかと思い起き上がろうとすると、止められた。


「ここは病院じゃない。先生はやめてくれ」


呼び方が気に入らなかったのか。

日々緊張の中で働いているから、プライベートでまで『先生』と呼ばれるのは嫌なのかもしれない。


「すみません。それでは堀田さんでよろしいですか?」


そう尋ねると、彼は首を横に振る。
それならなに?


「俺、皓河(こうが)っていうんだ」


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