彼女の夫 【番外編】あり
ガチャッ・・・・。
玄関ドアが閉まる音がした。

このまま、壁に押し付けてしまいたいほど気持ちは昂っている。
落ち着け・・。


「・・玲生・・さん」

彼女の手が俺の腕に触れる。

・・もう、ダメだ・・。


「蒼さん、こっち・・来て」

彼女をベッドルームに誘い、そのまま組み敷いた。
ゆっくりと唇を落とし、やわらかく開いた隙間から更に奥を舌で探る。


「・・ん・・っ・・・・ん・・」


時々漏れる彼女の声に、少しずつ俺の衝動が高まっていく。

「・・蒼」

首筋や鎖骨のあたりを唇で辿りながら名前を呼ぶと、彼女の吐息が深くなるのが分かった。

「好きだよ」

俺は顔を上げ、彼女の瞳を見つめながら言った。

まだ一度も、はっきりとは伝えていなかったし、そういう想いで触れているのだということを、彼女に分かってほしかったから。

「玲生さん・・いま言うの、ズルイ」

「どうして? ちゃんと好きだって伝えたかったんだ」

「だって・・」

何か言いたそうな、うっとりした視線を感じつつ、俺は先に進もうと彼女のニットに手を伸ばした。


ピリリ、ピリリ、ピリリ、ピリリ・・。


甘い空気を一瞬で引き裂くような電子音がした。

「玲生・・さん?」

「・・ごめん、蒼さん。これ、絶対に出ないといけない電話なんだ」

「えっ」

この着信音は、服部トレーディングが危機に直面した時のエマージェンシーコールだった。


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