彼女の夫 【番外編】あり
親父は目を閉じて、しばらく腕組みをしていた。
やはり最後は会長の意思によるのだ。
弟も俺も、黙ってそれを待った。
「社長を辞めて、やりたいことは何だ」
「えっ」
「社長を辞めないと、できないほどのことなんだろう?」
「それは・・ロサンゼルスで彼女と暮らしたいんだ」
それを聞いた母親は首をかしげた。
親父もそれを見て笑っている。
「兄貴、意外に考えが古いな。今時、世界中のどこにいたってビジネスは成り立つ。ロサンゼルスで社長業をやればいいんじゃないか? 現地にひとり優秀な秘書がいればいいだけだと思うけど・・」
「でもそれだと・・、俺はいいとしても周りが困るんじゃ・・」
「だったら、少しずつ土台を作っていけばいい。うちの社員は、おまえや直生を含めてみんな優秀だぞ。もっと社員を信じろ」
「親父・・」
本当にそれでいいのか?
俺の個人的な事情に付き合わせるようで、やはり気が引ける。
「ねぇ玲生・・あなた他にも気になっていることがあるんじゃない? 彼女のことで」
俺の不安を見透かすように母親が聞いてきた。
そう・・俺は彼女に『社長夫人』の役割を背負わせたくなかった。
「でも、あなたが全て手放してロサンゼルスに行ったとしたら、彼女は逆に苦しむんじゃないかしら。自分がそうさせた・・って」
「それは・・望んでない」
「だとしたら、決めつけないでふたりでいろいろ話し合ってみろ。何もかもそこからだ」
「兄貴、今度こそ彼女を離すなよ」
俺は自分の身近にこんなに味方がいたのだと、改めて実感した。
やはり最後は会長の意思によるのだ。
弟も俺も、黙ってそれを待った。
「社長を辞めて、やりたいことは何だ」
「えっ」
「社長を辞めないと、できないほどのことなんだろう?」
「それは・・ロサンゼルスで彼女と暮らしたいんだ」
それを聞いた母親は首をかしげた。
親父もそれを見て笑っている。
「兄貴、意外に考えが古いな。今時、世界中のどこにいたってビジネスは成り立つ。ロサンゼルスで社長業をやればいいんじゃないか? 現地にひとり優秀な秘書がいればいいだけだと思うけど・・」
「でもそれだと・・、俺はいいとしても周りが困るんじゃ・・」
「だったら、少しずつ土台を作っていけばいい。うちの社員は、おまえや直生を含めてみんな優秀だぞ。もっと社員を信じろ」
「親父・・」
本当にそれでいいのか?
俺の個人的な事情に付き合わせるようで、やはり気が引ける。
「ねぇ玲生・・あなた他にも気になっていることがあるんじゃない? 彼女のことで」
俺の不安を見透かすように母親が聞いてきた。
そう・・俺は彼女に『社長夫人』の役割を背負わせたくなかった。
「でも、あなたが全て手放してロサンゼルスに行ったとしたら、彼女は逆に苦しむんじゃないかしら。自分がそうさせた・・って」
「それは・・望んでない」
「だとしたら、決めつけないでふたりでいろいろ話し合ってみろ。何もかもそこからだ」
「兄貴、今度こそ彼女を離すなよ」
俺は自分の身近にこんなに味方がいたのだと、改めて実感した。