だからこの恋心は消すことにした。
1.消してしまいましょう






彼が好き。
気がつけばそう思っていて誰よりも特別だった。



「何、その目、気持ち悪い」



私がいけなかった。
彼に〝そういう目〟を向けてしまった。

いつも不敵に笑っている美しいアメジストの彼の瞳が不快感で歪んでいる。

私が今向けてしまった恋心に気づいたからだ。



「ご、ごめんなさい…。わ、私…」

「…何も聞きたくない。もう二度とそんな目で俺を見ないで」



何とか弁明しようとしたが、彼は不愉快そうにそう言うと魔法でその場から姿を消した。

それは一瞬の出来事で私は何もできなかった。


ああ、どうしよう。
今まで上手くやっていたのに。
エイダンに私の想いがバレてしまった。


そしてそれを拒否されてしまった。



「…ああ」



その場にしゃがみ込んで頭を抱える。
それからゆっくりと涙が溢れた。


胸が痛い。




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