だからこの恋心は消すことにした。
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ここは我が国を守り、支える最高階級の魔法使いたちが暮らしている離宮。
ここには10人の魔法使いたちが暮らしており、私はその魔法使いたちを支える秘書官の仕事をしている。
10代後半の頃から働き始め、もうすぐ5年。
魔法使いたちとは良き友となり、苦楽を共にしてきた。
魔法使いは人間と比べて恐ろしいほど長寿だ。
100年そこらしか生きられない人間とは違い、何千年もの時間を魔法使いは生きる。
だからなのか魔法使いと呼ばれる者は皆、人間離れした不思議な雰囲気を持っており、変わり者が多かった。
裏では何を考えているのかわからない者、いつも人間を馬鹿にしている者、楽しければ何でもいい者、親切すぎる者…など、本当にいろいろな性格の者がおり、全員が人間から見て普通ではない。価値観さえもまるで違う。
そんな彼らと共に過ごすことは普通の人間ではなかなか難しく、この私が続けている彼らの秘書官という仕事も、私が彼らの秘書官になるまでは、長くても半年ほどしか続けられる者がいなかったそうだ。
私のように何年も勤めていた人間はいないらしい。
だが、上手くやっていたのに私はついに失敗をしてしまった。
「ラナ?どうしたの?」
秘書室で肩を落としているとたまたまこの部屋にやって来ていたカイに話しかけられた。
ふわふわのルビーのような真紅の髪と真っ青な美しい瞳。
セナは少し幼く見えるが、これでも魔法使いなので当然私よりもうんと年上だ。
そんな幼い顔をしたカイが心配そうに私を見つめている。
その事実が私の胸を締め付けた。
悪いのは私で、心配されるような状況ではないのに。