だからこの恋心は消すことにした。
「…ちょっとぉ。殺すんだったら綺麗に殺してくれない?服が汚れちゃうじゃない」
魔物と魔物の死骸の間から心底嫌そうな顔をしたアランが現れる。
「別に俺がどう魔物を殺そうが関係ないでしょ。任務はちゃんとしているんだし」
「そうだけど、血で汚れたアタシなんてラナに見せたくないもの」
「あっそ」
グチャ
俺はアランに魔物の血が飛び散るようにわざとその場で力一杯魔物を踏みつける。
すると狙い通りに魔物から血が飛び、アランの方へ飛んで行った。
「うわ。アンタ本当最低ね」
心底嫌そうな顔をしているアランだが、アランの服には汚れ一つ付いていない。
今、俺がわざと飛び散らした血も難なく魔法で防いでいた。
「ありがとう」
「褒めてないわよ」
ニヤリと嬉しそうに笑って見せれば、アランがそんな俺を見て呆れたようにため息をつく。
「ついこの前までは上機嫌に任務をしていたくせに今はこれだもの。気分で魔物をぐちゃぐちゃにしないでよ」
「…何のこと」
「とぼけんじゃないわよ」
確かに今の俺は気分が悪い。
だから魔物も必要以上に痛めつけた。
だけどそれを他人であるアランに指摘されるのはいい気分ではなかった。
「でもアタシはアンタを絶対助けない」
「は?」
何言っているんだ?コイツ?
アランが俺を助ける?
責めるような瞳で俺を睨むアランに俺は眉を顰める。
「助けて欲しいなんて言っていないし、助けて欲しいことなんてないけど」
「ふーん。そう。まぁ、それでいいんじゃない?」
アランは少しだけおかしそうに笑うと俺に背を向けてどこかへ歩き出した。
何がおかしいんだよ。