だからこの恋心は消すことにした。
*****
「最近エイダンの機嫌がいいのよね」
「え」
彼、エイダンに気持ちがバレてしまった数日後。
いつものように秘書室で仕事をしているとアランが現れてそんなことを不思議そうに言い始めた。
アランの見た目は桃色の肩まである真っ直ぐな髪に薄緑の瞳でとても中性的だ。
女性に見える顔立ちだが、性別は男性で、こんな喋り方をしているが、心も立派な男性だ。
最初、アランに会った時、心は女性かと思っていろいろ配慮したが、普通に男だから気にするな、と苦笑いをされた。
こんな見た目であんな喋り方だと誰もが勘違いすると思うのだが、アラン曰くこの喋り方は美しいからしているだけらしい。
「アイツ、人様が嫌がることが心底好きじゃない?だから国からの任務も基本嫌がるのに最近それがないのよね。進んで任務を遂行するし、急に楽しげに笑い出すし」
「…そ、そうなんですか」
おかしい。
私の思いに気づいてあんなにも不愉快そうにしていたのにどうして機嫌がいいのだろうか。
…いや、待って?
あれから私は気まずすぎて何とかエイダンを避け続けているから、今のエイダンの様子を見ていない。だからはっきりしたことはわからないけどもしかしたら…。
「愉快なのかも」
「え?」
「…あ、いや」
つい、考えが口から出てしまった。
突然言葉を発した私をアランが不思議そうに見ている。
「何でもな…」
「あら?そんな嘘が私に通用するとでも?」
「…」
「無理矢理魔法で言わせてもいいのよ?アナタが相手にしているのは世にも恐ろしくて変わり者のあの魔法使いだということをお忘れで?」
「…言います」
どうせバレるのなら自分の口で伝えた方がまだマシだ。
だから私は早々に隠すことを辞めてつい数日前に起きてしまったことをアランに伝えた。