だからこの恋心は消すことにした。
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話には聞いていたが、この街には本当にたくさんの魔物関連の事件が多発していた。
ユルに来てもう3日目だが、正直、魔法使いたちは朝から晩まで働きっぱなしで例え、カイとエイダンがいたとしても圧倒的に手が足りていない。
さすがにずっと働かせる訳にもいかないので、カイとエイダンは時間分担をして交互に魔物対応に当たるようにしていた。
時刻は午後8時。
エイダンと入れ替わるようにやっと休憩時間になったカイを誘い、私は自分たちが宿泊しているホテルのレストランでカイと共に夕食を食べていた。
「カイ、それは本当ですか?」
目の前にある立派なステーキを切る手を止め、私はまじまじとカイを見つめる。
「うん。魔物の発生箇所には微妙だけど同じ魔力の気配を感じたんだ」
「…そうですか」
カイの真剣な表情の証言を聞き、私はフォークとナイフをテーブルに置き、顎に手を当て、視線を伏せた。
他の街ではなく、この街だけに集中して現れる魔物。
確かエイダンも「同じ感じがする」と言っていた。
私も動ける時は魔法使いたちと一緒に動き、現場を目撃している。
私が見た例しかないのが心許ないが、魔物が生き絶える時、魔物は必ず紫の光を放っていた。
共通点と言える共通点はないが、同じ魔力の気配があり、最期には紫に光る。
…これは情報を整理した方が良さそうだ。
意図的に誰かが魔物を発生させている可能性がある。