だからこの恋心は消すことにした。





エイダンの条件はこの1週間の任務後、自分に2週間の休暇を与え、王都から離れた海の街、ロロマーナで過ごさせること、だった。
もちろんその2週間の間に過ごすホテル…それも超がつく高級ホテルの手配まで要求し、さらにその休暇に私が同行することまで求めてきた。
それを国王様に伝えると、


「強力な魔法使いの力を借りられるのならどんな要求も呑もう」


と、すぐに頷き、手配を私に任せた。

なので、この任務が終わると私は海の街ロロマーナへと行かねばならない。もちろん同行するだけでロロマーナでもできる仕事を私はするつもりだ。

エイダンは私のことが好きだから私の同行を願ったのかな…。

そう思うと何だか嬉しくなり、思わず頬が緩んだ。



「何、間抜けな顔してるの?」

「かわいいね」

「…そうかもね」



私の顔を見て最初こそ揶揄うような表情を浮かべていたエイダンだったが、カイに笑顔で同意を求められて、冷めた表情で頷く。

そんな2人を見て私は、



「失礼しました。少し気が緩んでいました」



と、言って、顔に力を入れて、キリッとした表情を作ると心の中で自分に一喝を入れた。

色恋などでふわふわてしている場合ではない。
任務には危険がつきものだ。しっかりと気を引き締めていかなければ、みんなの足を引っ張り、最悪の事態になりかねないのだ。

…しっかりしなけば。




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