だからこの恋心は消すことにした。




エイダンの魔法により、気がつけば私は離宮の扉の前に立っていた。
私の横にはもちろんエイダンもいる。

一瞬で変わった周りの状況を私はざっと確認し終えると久しぶりに見た離宮の扉に手をかけた。
それからグッと軽く力を入れてその扉を開ける。
するとそこには見慣れた大きな玄関ホールが広がっていた。

ああ、やっとここへ帰ってきたのだ。
…晴れて恋人になれたエイダンと一緒に。



「おい!準備はそのくらいでいいんじゃねぇか!?」



突然、ホールの真ん中にある階段の奥の方からマテオの焦ったような声が聞こえてくる。



「え、でも相手はあのエイダンだよ?このくらい準備した方がいいと思うけど…」



それから今度はカイの戸惑うような声が、



「そうよ。こっちがいくら魔法を使っても探し出せないのよ?相当強力な魔法を使っているわよ、アイツ。そんな相手に軽装で挑むなんてどうかしてるわ」



さらには呆れたようなアランの声まで聞こえてきた。
ーーーそれだけではない。




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