だからこの恋心は消すことにした。
そしてラナの寿命がきて、俺は1人になった。
初めての愛する人との別れに俺は心が引き裂かれそうになった。
何度も何度もラナと同じところに行こうとした。
…だが、ラナの言う通り、俺は1人ではなかった。
ラナとの子どもに、その子どもの子ども。
ラナの残り香を纏う存在が俺の側にはいた。
彼らもまたラナ同様に愛する存在になっていた。
「大おじい様、今日は父と母がお休みで実家で料理を作ってくれるんです。ですから今日の夕食はみんなで一緒に食べませんか?」
「へぇ…。俺の口に合うものなら一緒に食べてもいいよ」
「ふふ、任せてください。今日は我が一族秘伝の大おばあ様のシチューなんですよ」
「クリーム?ビーフ?」
「それは着いてからのお楽しみです!」
誇らしげに微笑むルナの姿にラナが重なる。
『ねぇ、エイダン。アナタから離れないって言ったでしょう?』
それからどこからかそんなラナの優しい声が聞こえた気がした。
「ふ、本当、お前はすごいね、秘書官様」
俺は空を見上げて、あの頃と変わらない笑みを浮かべた。
ーーーーー愛しているよ、ラナ。お前を俺は一生離さない。
end