大嫌いなキミに愛をささやく日
「つーか、俺のストーカーをしてたのに、どうして凜のストーカーの存在に気づけたんですか?」



すると真さんは「気づいてないの?」と驚いた顔をした。



「君が終始、凛の周りをうろついてくれたおかげ、だよ」

「っ!」



一気に顔を赤くした俺を見て、真さんは笑いながら俺に背中を向けた。

かと思ったら、もう一度俺の方を振り返る。

そして、何を言うかと言うと……



「さっきの事だけど、自分のご両親の事を嫌わないであげて。あの人たちは煌人くんの事が大好きなだけだから」

「……」

「じゃあね」



そして今度こそ本当に、ストーカー男と行ってしまった真さん。

見えなくなった後ろ姿に、俺はポツリと独り言を呟いた。



――あの人たちは煌人くんの事が大好きなだけだから



「……なわけねーよ」



そうして凜の待つ玄関へ急ぐ。



「もう出ていいぞ」と言った瞬間。

遠くの方で、朝の会を告げる学校のチャイムが聞こえた。







*煌人*end




< 137 / 273 >

この作品をシェア

pagetop