大嫌いなキミに愛をささやく日
します……って。

これから煌人の身に何が起こるのか。

想像すると恐ろしくなって、顔を青くした私。

すると執事さんは「そうそう」と言いながら、人差し指を自身の口元に持って行った。



「明日は煌人様のお父様とお母様もいらっしゃるんですよ」

「え、煌人のご両親が?」

「はい。お二人共、煌人様のご活躍を、とても楽しみにしていらっしゃるんですよ」

「(そっか、初めてお会いするなぁ)」



煌人はご両親を嫌っているようだけど……あれから仲良く出来てるのかな?

あの後、煌人がバタバタ忙しく過ごしてたから、聞く暇なかったな。


そう考えていると、執事さんが「凛様」と、また私を呼ぶ。

そして、何を言うかと思えば、



「明日は煌人様の事、頼みますね」



ただ、それだけの言葉を残し、執事さんと煌人は帰って行った。



「なんだか意味深な発言に思えたのは……気のせい?」



それに。

煌人様の事を頼みます――って。

どういう意味なんだろう?


二人の後ろ姿を見ながら、漠然と思った疑問。

だけど、まさか。

この疑問が、まさに運動会当日に解消されるなんて。

私は思ってもみなかったのだった――


< 210 / 273 >

この作品をシェア

pagetop