愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
料理は贅沢なシーフードと鮮やかなサラダ、リブステーキなどで、日本人の味覚にもよく合って美味しい。

ロブスターの弾力のある身を味わってフルーツフレーバーの炭酸水を口にしてから、ふと気づいた。

四人掛けの丸テーブルの隣に座る朝陽を見れば、彼の料理の皿はほとんど手付かずである。

グラスワインもひと口、ふた口飲んだだけのようで、ほとんど減っていない。

彼の視線はステージではなく海側に向いており、ライトアップされたプライベートビーチの波打ち際を見つめてぼんやりとしていた。

考え込んでいるような横顔は美術品のような美しさがあり、成美の鼓動が跳ねた。

(疲れているの?)

一時間ほどの挙式は十四時頃に終わり、その後はドレスのまま海辺でプロのカメラマンに写真を撮ってもらい、部屋に戻ったのは十五時半頃だった。

成美はソファで休んだが、朝陽はひとりで市街地に出かけた。

仕事の取引先がこちらにもあるそうで、挨拶しに行ったのだ。

四泊六日のこの旅行のために、多忙な仕事のスケジュール調整をしなければならなかっただろうし、疲れが溜まっているのかもしれない。

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