愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
豪華な室内は静まり返っていて、朝陽の姿はない。
今日のディナーは繁華街にある有名なレストランに行ったのだが、食事を終えてタクシーでホテルに戻ったら彼だけ降車しなかった。
『仕事関係者と会ってくる。すまないが成美さんは部屋にいて。遅くなるかもしれないから先に寝ていていいよ』
そう言い残して市街地の方に引き返したのだ。
無人の部屋を見ているとさざ波のような不安が広がり、ワンピースの胸元を握りしめる。
(もしかして、私と夜を一緒に過ごすのが嫌なのかな)
今夜だけでなく、昨日も一昨日も彼だけ夜中に出かけていった。
先に寝てしまったので、いつ帰ってきたのかは知らない。
二日前には初夜の希望を聞かれて恥ずかしく思ったというのに、まだ一夜もベッドをともにしていなかった。
旅の最終夜も同じかと思えば、女性としての魅力不足が原因ではないかと余計な想像をしてしまう。
(藤江さんが過去にお付き合いしていた女性はどんな人? きっと美人でグラマー。胸と背中を間違われるような私では手を出す気になれなくて当然だ。でも、それが嫌なら私と結婚しなかっただろうし……)
今日のディナーは繁華街にある有名なレストランに行ったのだが、食事を終えてタクシーでホテルに戻ったら彼だけ降車しなかった。
『仕事関係者と会ってくる。すまないが成美さんは部屋にいて。遅くなるかもしれないから先に寝ていていいよ』
そう言い残して市街地の方に引き返したのだ。
無人の部屋を見ているとさざ波のような不安が広がり、ワンピースの胸元を握りしめる。
(もしかして、私と夜を一緒に過ごすのが嫌なのかな)
今夜だけでなく、昨日も一昨日も彼だけ夜中に出かけていった。
先に寝てしまったので、いつ帰ってきたのかは知らない。
二日前には初夜の希望を聞かれて恥ずかしく思ったというのに、まだ一夜もベッドをともにしていなかった。
旅の最終夜も同じかと思えば、女性としての魅力不足が原因ではないかと余計な想像をしてしまう。
(藤江さんが過去にお付き合いしていた女性はどんな人? きっと美人でグラマー。胸と背中を間違われるような私では手を出す気になれなくて当然だ。でも、それが嫌なら私と結婚しなかっただろうし……)