愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
早口の英語でなにかをまくしたてた彼は朝陽の肩をドンと突いて、成美の父を守ろうとしていた。

オーナーも最初の歓迎ムードを消し、厳しい口調で朝陽に退店を命じる。

父はこの店に深く溶け込んで、地元の仲間として受け入れられているようだ。

(ど、どうしよう)

迷惑客だと追い出されそうな雰囲気に成美は焦り、父の背に呼びかける。

「お父さん、お願い、私と話をして。いつも言っていたでしょう? 話せばわかってもらえるって。私はお父さんの気持ちを知りたいの。お母さんと私の気持ちも聞いてほしい。無理やり連れ帰ったりしないから、お願いします!」

成美の必死の説得に、父がゆっくりと振り向いた。

困り顔をした父が店内の客に謝って、オーナーには英語で簡単な事情を説明している。

その後に観念した様子で、成美と朝陽に頭を下げた。

「気が動転して、逃げ出そうとして申し訳なかった。今、オーナーに許可をもらったから、どこかに移動して話そう」

(よかった……)

三人でタクシーに乗り、成美と朝陽が宿泊している部屋まで戻ってきた。

ロイヤルスイートの豪華な室内に足を踏み入れて、父は驚いたように朝陽を見る。
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