愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
成美は急いでアイスコーヒーを出し、三人分のグラスに注いだ。

ガラスのローテーブルを挟んでふたり掛けのソファに父が座り、成美は朝陽と並んで三人掛けに座る。

父に聞きたいことがありすぎて、なにから問いかければいいかと迷った。

「お父さん、ええと――」

言葉に詰まったら、朝陽が代わりに口火を切る。

「まずは成美さんに謝ってください。あなたが作った借金をお母さんと一緒に、今でも返し続けています」

朝陽の声は冷たく、非難の感情を隠そうとせずに睨むような視線を向けていた。

二日前に軽蔑していると言って成美を怒らせ、謝ってくれたが、気持ちは変わっていないようだ。

父は殊勝な顔をしてソファから下り、ラグに膝をつけた。

土下座しようとしているのを察した成美は慌てて駆け寄って止める。

「お父さんに謝ってほしくない。謝るべきは私なの。ひとりで苦しんでいたんでしょう? 家族なのに気づけずにいてごめんなさい」

借金は父が旧友の連帯保証人になったのが原因だが、膨大な額に膨れ上がったのは自分のせいのような気がしていた。

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