愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
朝陽は今シャワーを浴びていて、その後に初めてベッドに誘われるのではないかと思ったら、緊張して平常心を保てなくなりそうだ。

成美はキャリーバッグを出してきて床に座り、荷物整理を始めた。

帰国の飛行機は明日の昼過ぎの便なので準備は朝でもいいのだが、なにかしていないとソワソワして気持ちが落ち着かない。

(これは会社の皆さんへのお菓子で、このメイクポーチとタオルハンカチときれいなグラスはお母さんに。お母さん、驚くだろうな)

お土産についてではなく、父との再会である。

今すぐ電話をかけて知らせたいところだが、父が自分で連絡して謝りたいと言っていたのでその気持ちを尊重した。

持ってきた荷物は少ないけれど、こちらで朝陽が服やバッグなどをたくさん買ってくれたためスーツケースひとつでは納まらない。

(大きなバッグがもうひとつ必要だ。どこかで買う時間がある? 高くつくけど、ホテル内のお店で買うのがいいかも)

そう思っていたら、開けっ放しにしていたドアを二回ノックされた。

「もう帰りの支度?」

肩を揺らして振り向くと、ズボンの上にバスローブを羽織った朝陽が立っていた。

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