愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
水音が立つような深いキスに酔いしれて、成美は夢中で彼の首に腕を回した。

「んっ。朝陽さん、今夜は一緒にいてください」

恥ずかしさよりも高ぶる気持ちに背中を押されるようにして求めれば、彼の熱い吐息が唇にかかった。

「今夜だけじゃなく、この先ずっとだ。俺たちは夫婦なんだから」

「はい……きゃっ!」

横抱きにされてベッドまで運ばれた。

夫婦として体も結ばれたいと思っても、初体験の緊張や恐怖はぬぐえない。

広いベッドに成美をそっと寝かせた朝陽が、サイドテーブルのスイッチをいくつか押す。

するとカーテンが自動で閉まり、天井ライトが消えて間接照明がともった。

白い壁を照らす水色の光は揺らめいて、まるで水中のようだ。

ひとりで寝ていた時には気づかなかったロマンティックな演出で、よく見ようとして体を起こした。

しかし朝陽に肩を押され、背中をシーツに戻す。

体半分、覆いかぶさるような姿勢で彼に見下ろされた。

「よそ見は禁止。今夜は俺だけを見て」

バスローブを脱いでなめらかな肌をさらした彼は妖艶だ。

成美の鼓動は振り切れんばかりに高鳴る。

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