愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
接待や会食続きだと胃もたれするので、成美の作る野菜多めの家庭料理がとても美味しく感じられると言ってくれた。

「さぁ、テーブルに着こう」

よそった卵スープとご飯茶碗をトレーにのせて、朝陽が微笑む。

「すみません……」

「どうして謝るんだ? 今日は先に俺が帰ってきたんだから、料理して当然だよ」

今の時代、共働きで家事を分担している夫婦が多いのは知っているけれど、夫には贅沢な暮らしをさせてもらっているので、せめて家事はすべて自分がやろうと考えていた。

(こんな風に朝陽さんに負担をかけてしまうなら、仕事を辞めて主婦になった方がいいのかな)

ハワイ旅行の帰路の飛行機で仕事を辞めていいと朝陽に言われた。

それを断り今の仕事を続けたいと言ったのはやりがいを感じているのと、朝陽への遠慮が理由だ。

頼りっぱなしでは申し訳ないので、自分の物くらい自分で買いたい。

『楽しいのか。それなら続けた方がいいな』

朝陽はそう言って成美の仕事を応援してくれるけれど、夫に迷惑をかけるくらいなら辞めようかと成美は迷い始めた。

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