愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「恥ずかしいからです」

(自宅で毎朝ラジオ体操。驚かれても仕方ない。真面目すぎだと自分でも思うもの)

朝陽に両手首を掴まれ、顔から外された。

真面目さも好きだと言ってくれた彼だが、さすがに今回は呆れただろう。

嫌われるかもしれないと思ったら、目が潤んだ。

「ラジオ体操、健康的でいいじゃないか。どうして恥ずかしいんだ?」

夫の声は優しく、成美の心を知りたがった。

「それは、その、夏休みの子供みたいで、呆れられそうで……」

「俺は少しもそう思わないよ。コソコソせず堂々と体操すればいい。だが、成美がやりたくてやっているように見えないのが気になる」

図星をつかれて小さく呻いた。

ラジオ体操をしなければ余裕を持って朝の支度ができるのにと思う日もあるし、激しく抱かれた翌朝は疲れが残っているので早朝から運動したくない。

それならやらなければいいと言われそうだが、子供の頃からの習慣を簡単に崩せない。

「本当はやりたくないんだろ?」

心配そうに問われて成美は頷いた。

ボソボソと本心を打ち明ける。

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