愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「やめられないんです。ラジオ体操をさぼると、悪いことをした気分になってしまうので」

ラジオ体操だけでなく、子供の頃からの色々な習慣が大人になった今でもマイルールとして成美の生活をコントロールしている。

清く正しく美しく生きるための、こまごまとした決まり事だ。

「マイルールか。具体的には?」

朝陽が真剣な顔をして聞いてくれるから、なお答えにくい。

恥ずかしさに首をすくめて成美は答える。

「朝と夕食は手抜きをせずに作って食べなければなりません。自分の分だけなら適当にすませたいと思うのですが、そうもいかなくて……。お風呂は急いで二十分で上がります。夜は眠くなくても二十三時に寝て、朝は六時に起きます」

朝陽がダイニングテーブルの和朝食をチラッと見て、納得したように頷いた。

「ゆっくり湯船で疲れを取っておいでと言っても急いで上がってくるのはルールのせいか。寝る時間は守れていない日もあるな。昨夜のように」

情を交わした夜は日付が変わってからの就寝となる。

それについても密かに規則破りの罪悪感を覚えていた。

「他には?」

「些細な決まりが色々と……」

< 159 / 282 >

この作品をシェア

pagetop