愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
掃除の手順に、シーツと枕カバーの交換頻度、洗濯や買い物をする曜日まで決まっている。

テレビは一日一時間までだ。

子供の頃はアニメなどの娯楽番組は禁止で、その習慣を消せない今でもニュースと教養番組しか見ない。

当然、梢にドラマや歌番組の話をされてもチンプンカンプンである。

必要なもの以外は買わないというのもマイルールで、夫からの過剰なプレゼントを心から喜べないのはそのせいだろう。

知られたくなくて隠していたマイルールをすっかり打ち明けたら、朝陽が嘆息した。

(やっぱり言わなければよかった)

嫌われた恐怖で硬く目を閉じたら、唇にチュッとキスされた。

驚いて目を開けると、微笑んだ彼に優しく手を取られた。

「感心していたんだ。子供の頃にしつけられたことを、よく今でも守っているなと。人は楽な方へ流されるものだと思っていたが、成美は違うようだ」

愛情を失っていないと安心したが、褒められた後に眉をしかめられてビクッとした。

「俺は成美の真面目さが好きだよ。だが、そのままではいけないようだ」

「どうしてですか?」

不安に顔を曇らせると、繋いだ手を強く握られた。

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