愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
冷蔵庫から牛肉のパックとしらたき、卵や野菜を出していると、三つ揃えのスーツからラフなロングTシャツと黒いストレートパンツに着替えた朝陽が階段を下りてきた。

「夕食の支度はこれからなんです。すみませんが一時間ほど待っていてください」

ニンジンの皮をむこうとしたら、後ろから朝陽に手首を掴まれた。

「待って。夕食は作らなくていい。疲れた顔をしているよ。成美のことだから、早朝から家中を掃除していたんだろ。玄関に掃除道具が置いてあった」

「あっ、すみません!」

玄関掃除中に洗濯機から終了のメロディが聞こえたため、中断してそのまま忘れていた。

慌ててニンジンとピーラーを置き、玄関に向かおうとしたが、夫が背中を抱きしめて離してくれない。

「俺が片づけたよ」

「すみません……」

「今日は謝ってばかりだな。よし。新ルールのひとつ目は〝すみませんの禁止〟にしよう」

「えっ?」

思ってもいなかったルールに、成美は驚いて振り向いた。

夫の両腕に閉じ込められたままなので距離が近く、成美の鼓動が跳ねる。

フッと笑った彼が、優しい口調で諭す。

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