愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「口癖なのかもしれないが、成美は少しも悪くないのに謝るのはおかしい」

「片づけ忘れたのは私の落ち度です」

「掃除は君だけの仕事じゃない。俺もだ。それなのにいつも任せてしまい、謝るべきは俺の方だよ」

「そんな!」

この贅沢な住まいも生活費も朝陽が負担しているので、家事はすべて自分がやりたいと主張した。

それくらいしないと、なにもお返しできないことに申し訳なさがつのる。

すると朝陽にコツンと額を合わせられた。

ドアップで映る美々しい顔に成美はさらに鼓動を高まらせる。

「ルールのふたつ目は〝夫に遠慮しない〟だ。俺のために頑張るのはやめてくれ。体を壊さないか心配になる。掃除は週一回、業者に頼もう」

成美は掃除会社に勤めているので、料金設定の相場は知っている。

毎週、この広い家の掃除を頼めばかなりの高額になるので、慌てて首を横に振った。

「私が楽をするために大金を支払うなんて、そんなもったいないことできません」

すると夫がニッと口の端を上げた。

「俺の年収、いくらだと思っているんだ? 掃除業者に支払うくらい大した額じゃない」

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