愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「でも、それは朝陽さんの稼ぎであって、私のお金じゃないので――」

「俺たち夫婦の共有財産だよ。ふたりのために使おう。お金は貯めているだけでは経済が回らない。景気が下降するばかりだ。金銭的に余裕のある者はどんどん使うべきなんだよ」

(そういうものなの?)

長らく節約生活を送ってきたため、社会全体という視点でお金の使い方を考えたことがなかった。

そんな贅沢をしていいのかという戸惑いはあるが、反論できずに頷く。

「わかりました」

完全に納得していないのは表情から伝わったと思うけれど、夫は話を先に進める。

「三つ目のルールは〝楽な方や楽しいと思う方を選択する〟」

たとえば料理に関して、今日のように疲れている日は無理して作らず、出来合いのものを買ったり出前や外食にしたりする。

作らなければという義務感は捨て、作りたいと思った時だけ料理すればいいと言われた。

成美の眉尻が下がる。

「もしかして、料理を作って待っていられるは迷惑でした? 私の手料理を喜んでくれていると思っていたんですけど……」

< 166 / 282 >

この作品をシェア

pagetop