愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す

これが夫の言う〝実践〟で、ゲームだけでなく二時間ほど前は彼が買ってきた漫画本を五冊読み、その前はテレビでバラエティー番組を見ながら宅配ピザとパスタを食べた。

どれも子供の頃に禁止されていたため、成美にとって初体験である。

初めはいけないことをしている気分でハラハラしたが、『ルールだから』と言われたら、罪悪感が薄まった。

バラエティー番組も漫画も面白かったが、テレビゲームは身を乗り出すほどに熱中した。

この格闘ゲームは朝陽が中学生の頃、友人たちとよく遊んだものの復刻版だそうで、懐かしがっていた。

ゲーム機本体が家になかったので車を走らせ急いで買ってきてくれて、ソフトはダウンロードした。

初心者に合わせて手加減してくれていた夫だったが、十九回目で成美がまぐれで勝ったためか、二十回目の対戦では容赦なく攻めてくる。

「待ってくださ……ああっ、負けました」

「朝陽さんが反則の必殺技を使ったせいで」と付け足して頬を膨らませたら、吹き出された。

「まるでリスだな。怒っても可愛い」

頬をつつかれて空気が抜けると、成美もおかしくて肩を揺らした。