愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
『なんか興ざめした。思っていたのとだいぶ違うわ。あの子は真面目すぎて駄目だ』

男女交際は校則で禁止されているからと、デートの誘いに応じてくれないらしい。

偶然を装って学校帰りの彼女に声をかけ、カフェでお茶しようと言っても寄り道も禁止で、メールを送っても堅苦しい定型文のような返事しかこないそうだ。

『顔は可愛いけど、あの三つ編みはないよな。今時の子は女子高生でもほとんどメイクしているのに、すっぴんで眉処理もしてない。白いセーラー服に騙されたわ。きっと私服はダサいだろう。彼女にはしたくない』

助けられたというのに、なびいてもらえない悔しさで侮辱に転じるとは、友人をやめようと思うほどに呆れた。

『お前、最低だな』

本心で言ったのだが佑大は軽く笑って受け流し、『他校の女子大生と合コンするからお前も来いよ』と誘ってきた。

佑大と親しくしていたのは大学二年の秋頃までで、その後は朝陽の方から徐々に距離を置いたのだ。

当時の感情が蘇り、朝陽の心がさらに冷えた。

友情を利用して仕事を得ようと企み、目の前で頭を下げている三人が滑稽に見えた。

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