愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「あら、好みじゃない? それならこちらは? お友達の山田さんの会社で働いているお嬢さんよ。あなたのお写真を見て、ぜひ会いたいと言ってくれたらしいわ。親との同居も構わないそうよ。この方にしなさいよ。そうすれば息子夫婦と一緒に暮らせて、私も嬉しいから」
「やめろって言ってるだろ!」
あまりの身勝手さに我慢ならず、朝陽は声を荒げた。
「俺には成美という妻がいるんだ。いい加減にしてくれ!」
母が目を見開いて固まり、それから肩を落としてうつむいた。
写真台紙に落ちた母の涙を見て朝陽はハッと我に返る。
母は今も精神安定剤を服用しており、厳しい言い方をしては駄目なのだ。
「強く言ってすまなかった。泣かないでくれ。だけど、見合いはすべて断って。お願いだ。今日は帰るけど、近いうちにまた来るから」
優しく声をかけて母の肩をさすり、それから立ち上がって出口に向かう。
リビングのドア前で家政婦の田中が、紅茶のカップふたつをのせたトレーを手に固まっていた。
朝陽の怒鳴り声を初めて聞いて驚いたのだろう。
「田中さん、申し訳ない。母が危ない真似をしないよう、注意して見てやって」
「やめろって言ってるだろ!」
あまりの身勝手さに我慢ならず、朝陽は声を荒げた。
「俺には成美という妻がいるんだ。いい加減にしてくれ!」
母が目を見開いて固まり、それから肩を落としてうつむいた。
写真台紙に落ちた母の涙を見て朝陽はハッと我に返る。
母は今も精神安定剤を服用しており、厳しい言い方をしては駄目なのだ。
「強く言ってすまなかった。泣かないでくれ。だけど、見合いはすべて断って。お願いだ。今日は帰るけど、近いうちにまた来るから」
優しく声をかけて母の肩をさすり、それから立ち上がって出口に向かう。
リビングのドア前で家政婦の田中が、紅茶のカップふたつをのせたトレーを手に固まっていた。
朝陽の怒鳴り声を初めて聞いて驚いたのだろう。
「田中さん、申し訳ない。母が危ない真似をしないよう、注意して見てやって」