愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
革靴を脱いでコートをコート掛けにつるした朝陽は、妻の肩を抱いてリビングに向かう。

「すみま、の続きは?」

「言いません。決まりですから」

「破ってもいいんだよ。楽しいペナルティが待っているだけだ」

「それは、お風呂かベッドですることですよね……?」

「へぇ、俺の考えが読めたのか。ということは、成美は今いやらしい想像をしたんだな」真っ赤な顔で慌てて否定する妻が可愛くて、唇を奪ってさらに照れさせ満足する。

(成美の恥じらう顔がたまらない。お互い明日も仕事だが、今夜は抱いていいだろうか?)

仕事の疲れも母から呼び出されたストレスも、妻と触れ合えば嘘のようにスッと薄れていった。

リビングのドアを開けると、ふんわりと美味しそうな香りがした。

「腹減った。俺の分のしいたけの肉詰め、もうできてる?」

キッチンの方を見てネクタイを緩めながら聞くと、成美が声を弾ませた。

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