愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す

まったく飲めないわけではないが胎児に影響するため、一日のカフェイン摂取量には気をつけている。

コーヒーは含有量が多くすぐに上限に達してしまうため、水分補給は水かノンカフェイン飲料にして、自宅でひと息入れる時は紅茶か緑茶を二杯までと決めていた。

妊娠をサラッと口にしたのは、とっくに朝陽が母親に報告していると思っていたからだ。

しかし夫はしまったと言いたげな顔をし、テーブルを挟んで向かいのソファに座る母親はたちまち目をつり上げた。

大事そうに持っていたネックレスをケースごとテーブルに置くと、立ち上がって息子夫婦を叱りつける。

「妊娠ですって!? どうして黙っていたのよ!」

「朝陽さん、報告していなかったんですか?」

「折を見て話そうと思っていたんだが――」

集めた見合い話に息子がひとつも応じないため、ここ数か月は特に不機嫌だったらしい。

嫁だと認めていない成美の妊娠を聞かされたら、ヒステリックに怒るくらいならまだいいが、精神状態が悪化するのではないかと心配したそうだ。

それで機嫌のいい時を待っていたという。

< 250 / 282 >

この作品をシェア

pagetop