愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
三十代半ばのショートカットが似合う快活な女性で、小学生をふたり育てているので子供の扱いに慣れている。

昨年、成美が倒れて入院した際に夫婦で話し合って出した結論は、子育ても手伝ってくれる家政婦を雇うことだった。

基本的にお願いしているのは掃除、洗濯、料理と買い物だが、夜泣き対応で成美が寝不足の日や疲労を感じている時は、日中の清香の世話を手伝ってもらっている。

成美は体を休めることができ、自分で育児をしているという実感もあり、牧に来てもらってからは元気に楽しんで子育てしていた。

あの時、『頑張らないでくれ』という夫の頼みを聞き入れてよかったとつくづく感じている。

牧とふたりで作った料理をダイニングテーブルに並べる。

まずは主役の清香の離乳食。

完了期に入ったので、だいぶ形のある状態の料理を食べられるようになった。

今日は清香の好きな薄切りの食パンに、ハートや星形のトマトやカボチャ、スライスチーズをのせたものと、コーンスープ、ホウレン草とツナとコーンのグラタンを用意した。

大人用のケーキは有名洋菓子店から買ってきたが、清香のは手作りだ。

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