愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
「なにを驚いているのですか? そちらの事情を私がすんなりと受け止めたからですか?」
「は、はい。そうです。あの、少額の借金ではなく、完済にあと二十年ほどもかかる額なんです。ですから、本当はこの場に来ること自体を遠慮したかったのですが……」
「どうして? 借金があっても返済すればいいだけの話では? もし成美さんが私を気に入って交際していただけるなら、私が代わりに一括返済しましょう。一億でも二億でも構いません」
(我が家の借金は億単位じゃないけど、藤江さんは二億でも一括で返せるの? すごい……)
貧乏が板についた成美からしたら、セレブと言うより大富豪だ。
なぜそんな人が自分に見合いを申し込んだのかと、これまで以上に疑問に感じた。
しかも交際するかどうかは成美の返事次第というような話しぶりで、にわかには信じがたい。
(そんな美味しい話があるはずない。そうよ、きっと冗談だわ)
「信じていないような顔ですね。それなら、私の秘書に小切手を用意させます」
懐に手を入れた朝陽が携帯電話を取り出したので、成美と母は揃って思いきり顔の前で片手を振った。
「は、はい。そうです。あの、少額の借金ではなく、完済にあと二十年ほどもかかる額なんです。ですから、本当はこの場に来ること自体を遠慮したかったのですが……」
「どうして? 借金があっても返済すればいいだけの話では? もし成美さんが私を気に入って交際していただけるなら、私が代わりに一括返済しましょう。一億でも二億でも構いません」
(我が家の借金は億単位じゃないけど、藤江さんは二億でも一括で返せるの? すごい……)
貧乏が板についた成美からしたら、セレブと言うより大富豪だ。
なぜそんな人が自分に見合いを申し込んだのかと、これまで以上に疑問に感じた。
しかも交際するかどうかは成美の返事次第というような話しぶりで、にわかには信じがたい。
(そんな美味しい話があるはずない。そうよ、きっと冗談だわ)
「信じていないような顔ですね。それなら、私の秘書に小切手を用意させます」
懐に手を入れた朝陽が携帯電話を取り出したので、成美と母は揃って思いきり顔の前で片手を振った。