愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
彼が中座して間もなく、真鯛の炊き込みご飯と八丁味噌仕立ての留椀が出された。
箸を持った母は嬉しそうだ。
「素敵な方ね。成美を気に入ってくださったようだし、お付き合いしたらいいんじゃない?」
「お母さん、借金を肩代わりしてもらおうと考えているの!?」
先ほどは母も金銭援助の申し出を断っていたのに、やっぱり惜しくなって交際を勧めるのかと驚いた。
「違うわ。お金についてじゃなく、成美に幸せになってほしいからよ。これまであなたにはたくさん我慢させてきて、申し訳ないと思っているの」
受験勉強を頑張って入学した名門の女子高に一年も通わせてあげられず、年頃の娘らしいお洒落もさせてあげられなかったと、母は心苦しく思っていたようだ。
「藤江さんのような誠実な方と結婚できたら、きっと幸せになれるわ。借金は返済期限を延ばして、お母さんがひとりで返す。これまで甘えてしまってごめんなさいね。どうか成美は幸せになって」
母の目は微かに潤んでいる。
「お母さん……」
娘を想う母心が痛いほど伝わって、成美に迷いが生じた。
箸を持った母は嬉しそうだ。
「素敵な方ね。成美を気に入ってくださったようだし、お付き合いしたらいいんじゃない?」
「お母さん、借金を肩代わりしてもらおうと考えているの!?」
先ほどは母も金銭援助の申し出を断っていたのに、やっぱり惜しくなって交際を勧めるのかと驚いた。
「違うわ。お金についてじゃなく、成美に幸せになってほしいからよ。これまであなたにはたくさん我慢させてきて、申し訳ないと思っているの」
受験勉強を頑張って入学した名門の女子高に一年も通わせてあげられず、年頃の娘らしいお洒落もさせてあげられなかったと、母は心苦しく思っていたようだ。
「藤江さんのような誠実な方と結婚できたら、きっと幸せになれるわ。借金は返済期限を延ばして、お母さんがひとりで返す。これまで甘えてしまってごめんなさいね。どうか成美は幸せになって」
母の目は微かに潤んでいる。
「お母さん……」
娘を想う母心が痛いほど伝わって、成美に迷いが生じた。