愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
すると今度はこんな連絡が。

【明日から海外出張なんだ。忙しくなりそうでしばらく連絡できない】

〝しばらく〟が長期なのか数日なのかわからなかったので、成美はメッセージが届いていないかと気にする日々を過ごさねばならなかった。

連絡が途切れて十日が経ち、もしかして約束を忘れてしまったのか、それとも会う気がなくなったのかと疑ったら、帰国を知らせる連絡が来た。

【待たせてごめん。来週の金曜に会いたいんだが、成美さんの都合はどう?】

忘れられていなかったとホッとして、仕事の後なら会えるとすぐに返信したら、また思わせぶりなことを言われた。

【ありがとう。会えるのが楽しみだ。連絡できなかった間もずっと成美さんを想っていた。君も同じだったら嬉しい】

(連絡がこないかと毎日何度もスマホを気にして、私の方は本当に藤江さんのことばかり考えていた。でも藤江さんは違うよね。これは方便のようなもの? 上流階級の男性は、女性に対してこういう会話運びをするものなのかも)

褒められると嬉しいが、同時に本心ではないだろうとも思うので、鼓動を弾ませたり困ったりと成美の心は忙しい。

< 56 / 282 >

この作品をシェア

pagetop