愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
ふたり掛けのテーブルが部屋の中央に配置され、真っ白なテーブルクロスにはキャンドルがチラチラと炎を揺らしている。

壁には風景画が飾られ天井にはシャンデリア、ドレープカーテンが下がる窓からはまばゆい都会の夜景が見えた。

目を丸くしている成美に朝陽がサラリと言う。

「ここに食事に来る時はいつもここを使わせてもらっている。周囲を気にせずゆっくりできるだろ」

この店にとって朝陽は特別な客で、それほどの常連なのだろう。

そのセレブさに改めて別世界の人だと感じるとともに、誰とよく来るのかと考えてしまう。

(親しい友人か、ご両親や兄弟か、お仕事関係の方、それとも……お付き合いしている女性?)

お見合いはしたけれど、交際相手がいないとは聞いていない。

誰が見ても朝陽は女性にモテるタイプなので、恋人がいないのはおかしいと思った。

彼の恋人が今どんな気持ちでいるのかと急に心配になる。

(私と藤江さんにその気がなくても、他の女性とふたりで会われるのは嫌よね)

マネージャーが椅子を引いてくれたので腰を下ろしつつ、朝陽に小声で問いかける。

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