愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
フォローのつもりではなく、心からそう思っていそうな笑顔に、成美の心が解きほぐされる。

(私も、楽しい)

「葡萄の味もしました」

「原料は葡萄だから、そうだね」

「あっ……!」

当たり前のことを張り切って言ってしまったと顔を火照らせたら、朝陽が目を細める。

「君はすぐ赤くなる。ウブなんだな。可愛い反応をありがとう」

「か、からかわないでください。どう返していいのかわからないんです」

「からかっているつもりはないが、発言には気をつけよう。あまり照れさせると、うつむいて、俺を見てもらえなくなるからな」

気をつけると言いつつ思わせぶりな言葉を重ねられ、ますます赤い顔で困っていたら、料理が運ばれてきた。

小さな白い器の中に様々な食材が精緻に盛りつけられたアミューズは、精巧なドールハウスを見ているような気持ちにさせられ、感嘆のため息が漏れる。

続いて出された前菜は崩すのが罪だと思うほど芸術的で美しく、カトラリーを構えたまま魅入ってしまう。

(まるで絵画。すごくきれい)

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