愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
名前を知られていた理由にもならないだろう。
案の定、「違うな」と言われて、成美は頭を悩ませた。
(あの頃はアルバイトをしていなかったし、習い事は制服では行かなかったし、うーん、どこに接点が。あっ、名門の女子高だったから、もしかして……)
「藤江さんの妹さんが、同じ高校に通っていたんですか?」
良家の令嬢も通っていた女子高なので、そういう繋がりはありそうな気がした。
ただし、藤江という名字の同級生はいなかった気がするが。
今度は半分ほど自信のあった答えだが、朝陽は「はずれ」と楽しげだ。
「兄がひとりいるだけで妹はいない。仕方ないな。もうひとつヒントを出そう。君の通っていた高校と同じ駅を利用する大学が近くにあったはずだ」
そのヒントで偏差値の高い国立の名門大学に思いあたった。
最寄りの電車の駅を挟んで反対方向なので近いとは思わなかったが、そこに通う大学生はよく見かけた。
「藤江さんはあの大学に通われていたんですか?」
「そうだよ。成美さんが高校一年生の時、俺は大学二年生だった。駅周辺で何度か君を見かけた」
「それで、私を知って……あの、どうして名前まで?」
案の定、「違うな」と言われて、成美は頭を悩ませた。
(あの頃はアルバイトをしていなかったし、習い事は制服では行かなかったし、うーん、どこに接点が。あっ、名門の女子高だったから、もしかして……)
「藤江さんの妹さんが、同じ高校に通っていたんですか?」
良家の令嬢も通っていた女子高なので、そういう繋がりはありそうな気がした。
ただし、藤江という名字の同級生はいなかった気がするが。
今度は半分ほど自信のあった答えだが、朝陽は「はずれ」と楽しげだ。
「兄がひとりいるだけで妹はいない。仕方ないな。もうひとつヒントを出そう。君の通っていた高校と同じ駅を利用する大学が近くにあったはずだ」
そのヒントで偏差値の高い国立の名門大学に思いあたった。
最寄りの電車の駅を挟んで反対方向なので近いとは思わなかったが、そこに通う大学生はよく見かけた。
「藤江さんはあの大学に通われていたんですか?」
「そうだよ。成美さんが高校一年生の時、俺は大学二年生だった。駅周辺で何度か君を見かけた」
「それで、私を知って……あの、どうして名前まで?」