モノクロに君が咲く

 本人が気にしていたから整えてあげたけれど、いっそあのままでもよかったかな、なんて──そうして懐かしい思い出に浸ることも、今はまだ胸が苦しい。

 ぐっと気持ちを入れ替えて、俺は開けた封筒のなかを覗き込む。

 入っていたのは一枚。おそるおそる手紙を開いて、俺は言葉通り、ぽかんとした。

「……なんて?」

「……卒業おめでとうございますって」

「あとは?」

「……それだけ」

「えっ」

「へっ?」

「は?」

「ちょっ、と見せて!」

 信じられないと言わんばかりに、榊原さんがやや乱暴に俺の手紙を横取りする。あ、と思う間に奪われた。そして榊原さんもまた、手紙を見て、同様に絶句した。

「……ほんとにそれだけじゃない……」

 そうだ。手紙の中心部に、たった一行それが書いてあるだけだった。

 もちろん嬉しくないわけではないけれど、ついつい拍子抜けしてしまう。

「あ、でも……」

 ふと榊原さんはなにかを見つけたように手紙を裏返した。まさかそんなところになにか書いてあるのかと驚愕し、俺にしては機敏な動きで素早く手紙を奪い返す。

「えっと──『贈り物、受け取ってくれました?』」

 そのまま読み上げると、シン、と静寂が落ちる。

「なんか受け取ったのか? 結生」

「いや……なにも受け取ってないと思うけど」

「じゃあどういう意味だ、これ」

 俺と隼が神妙に顔を見合わせたと同時、目の前で綾野さんと岩倉さんも顔を見合わせた。けれど、ふたりの表情はどちらかというと思案気なもので。

「そういえば鈴ちゃん……あれ、どうしたんだろう」

「もうとっくに完成してたよね?」
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