イケメンドクター今世も梅香の君にめぐりあいて再び愛す
 
 ふたりは目を合わせて笑い出した。
 
 「わかったよ。じゃあ、お言葉に甘えるな。会計は任せとけ。金持ちの医者だからな、俺」
 
 彰もウインクして紫を見る。

 「じゃあね、ふたりとも。お幸せに」
 
 「ごめんね、紫。また連絡する」
 
 「うん。バイバイ里香子」

 紫は後ろを振り向くことなく、店を出た。

 気付くと頬を涙が伝っていたことに気付いたのは、自分をじっと見ながら人が通り過ぎるからだった。

 
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