イケメンドクター今世も梅香の君にめぐりあいて再び愛す
 
 だとすると、母親のことか?いや、状態は悪くなっていないようだし、でなければなんだろう。
 一旦、現場に戻り外来をこなし、仕事を早めに片付け、昼休みに特別室へ戻ったときにはまた紫は寝ていた。
 今度は辛そうでは無かったが、目元に涙がたまっている。

 二日後。

 熱は下がったが、食欲がほとんどなく寝たり起きたりの紫を光琉はどうしたらいいのかと悩んでいた。
 理由を聞いても何も話さないし、自分に突っかかってくることもなくなった。

 紫の母親はここ三日彼女が病室へ現れないので心配しだした。

 院長から研修に行かせていると嘘をついてもらい、ごまかしたが、事前に話が無かったのを不審がっていたそうだ。
 まあ、無理も無い。とにかく、痩せてきているし、目が腫れるほど泣いたので目の周りだけ目立つ。
 元々目が大きい子だったので、痛々しいのだ。

 病棟回診に行くため、ナースステーションへ出ると、紫のことを皆が心配して光琉を囲んで聞き出した。
 
 「足の状態が悪化して、骨がまたずれてしまいましたので、しばらく仕事は無理です。すみませんが、師長お願いします」
 
 光琉は頭を下げた。

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