危険な彼に焦がれて


「久我……?」


眺めていると、表札に目が行った。


そういえば、久我組っていう日本でも有名な極道があった気がする……


だったら、この男を危険だと思う理由が納得できる。


「知ってるみたいだね。ここは久我組の本拠地だよ」


「そんなこと簡単に教えていいの?」


「君はこれからここに住むことになるんだから、問題ないよ。それより、中に入ろう」


言葉を口にする前に歩き出した。


意外と強引な男なのね。


どこがどこだか分からないまま、大人しくついていった。





「おっ、優雅!」


誰かが声をかけた。


まぁ、ここにいるってことは久我組の関係者であることは間違いないけど。


それにしても、この男は優雅って名前なのね。


自己紹介もないまま連れて来られたから、分からなかった。

< 12 / 72 >

この作品をシェア

pagetop