危険な彼に焦がれて


「ここ、本当に私の部屋なの?」


「そうだよ」


一応確認のために聞いてみると、肯定された。


「私1人にしては贅沢すぎない?」


「珠那ちゃんは慎ましい性格をしているんだね。うーん、でもなぁ……他の部屋も同じ広さなんだよ。だから、変えるにしても同じ広さの部屋しか用意できないんだよね」


どの部屋もこの広さなら、変えてもらう意味はないか。


せめて、家賃だけでも払わないと。


「家賃は払うから。情報屋として稼いだお金があるし」


「いいよ、払わなくても。気にしないで」


と思ったけど、払わなくていいらしい。


そういうわけにはいかないと思うんだけど……


「と言っても、気にするんだろうね。まぁ、気持ちだけは受け取るよ」

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