危険な彼に焦がれて


「何か意外で。珠那ちゃん、そういうの思いそうにないから」


「私、美醜の区別くらいつくけど」


「ふっ、そっか。でも、珠那ちゃんにそう言われるのって他の女の子に言われるよりも嬉しいな」


にこりと笑いながらそんなことを言った優雅さんに周りの女性客からまた悲鳴が上がる。


何を言っているの、本当に。


「へぇ、そう」


「ははっ、素っ気ないね。脱線するのはこれくらいにして、試着再開する?」


「えっ、まだする気?」        


まさか、まだ試着をしないといけないとは思わず、嫌そうな声を上げてしまった。


「やっぱり疲れたよね。ひとまずはこれくらいにしようか。また今度、一緒に買いに来ようね」


どうやら、次も一緒に買いに行くつもりらしい。


1人でいいんだけど……


そう思ったものの、口には出さなかった。

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