危険な彼に焦がれて
「なっ……!」
「ちょうどいいので、あなたで発散させてもらいます」
完全な八つ当たりだった。
その自覚はある。
でも、相手のことを思い遣る余裕はなかった。
「何してるの?」
誰かに声をかけられ、我に返る。
見ると、相手は血まみれになっていた。
さすがにやりすぎた……
「あんたに関係ないでしょ」
でも、それを何も知らない人に言われたくない。
怒りはまだ収まっていなかった。
「相手、血まみれだよ?さすがにそれ以上はやめておいた方がいいんじゃないかな」
「分かってる」
それは自分でも分かってるため、苛立ち気味に返す。
「分かってるなら、よかった。それよりも、君みたいな女子高生がこんな夜遅くにここにいるのは危険だよ。早く家に帰った方がいいんじゃない?」
その家がないのに、どうやって……?
苛立ちが更に増す。