奈落の果てで、笑った君を。




見廻組は、負けないんだ。

見廻組は、終わらないんだ。



『必ず会えます。君が望めば、私たちはどこへだって行く』


『楽しかったよ朱花。すごくね』



只三郎、まだわたしはたくさん只三郎から歌を教えてもらわなくちゃ。


会えるって言ってたでしょ…?

わたしが望めば、どこへだって来てくれるって。



『朱花、俺からの草履は大切にするんだよ』


『─────……元気でね』



桂、桂から貰った草履で歩いた土地、そこで目にした景色。

また会ったときにぜんぶ、ぜんぶを話したいんだよわたし。


そのときはまた一緒にうどん屋さんへ行って、今度は昆布だしを食べるんだ。



「っ、あ……、あぁぁぁ…、」



死んだらもう、会えないんだよ。
2度と会うことは、できないんだよ。

ここは、真っ暗。
抜け出せやしない、牢獄。


笑えない、なんにも笑えないよ。




「ああぁぁぁあああぁぁあああ!!!!」




そっか……、わたしは今、

地獄を見て、地獄のなかに居るんだ。


ここが────……奈落。




「幕命が下った。忽那 尚晴、そしてその娘には───共に死罪を受け渡す」




わたしたちは、敗者なのでしょうか。



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