奈落の果てで、笑った君を。
「んんー、明日オレたち早番だから勘弁してくれって…」
「おーい忽那!世話役はなにしてんだァー」
「ほら閉めてくれ朱花。俺が明日買ってきてやっから」
首根っこを掴まれるように、ひょいっと部屋の外へ追い返されてしまった。
どうしよう、ぜんぜん見つからない…。
もしかすると誰かに捨てられちゃったのかも…。
「朱花、見つかったぞ」
「…え?」
落ち着いた声に、ふるっと揺れた視界は元どおり。
そこにはわたしの大切な宝物を手にして向かってくる尚晴がいた。
「かざぐるま!!!」
「押し入れに入っていた。大方、今朝は布団に一緒にくるめてしまっていたんだろう」
「ありがと尚晴!!」
けれど、受け取ろうとするとスコッと天井に上げられてしまう。
こういうときの尚晴はいつにも増して無表情だから、なにを考えているのかよくわからない。
「しょうせ───わっ!」
抱えられていたのは、わたし。
いまだに風車を渡してはもらえず、尚晴に抱き上げられるまま視界は動く。