見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
年末の仕事を終え、ゆっくりまったり乃愛と過ごす大晦日の夜。


…のはずが。


「つっくーん、乃愛ちゃーん、みんなで焼肉行くよー!」

というナッシーの一声で、この前協力してくれた友人達を引き連れての焼肉パーティーになった。




…じゅうじゅうと煙を伴ういい音と食欲を誘う匂いが漂う中、黙々と肉と白飯、たまに野菜を掻き込む俺。

「あれあれ?つっくんご機嫌ナナメだね」

俺の甘い計画が台無しにされたからな。

「せっかく乃愛とゆっくりイチャイチャして過ごそうと思ってたのに…」

「裸で?」

「もち」

「ちょっと伊織!梨本さんも何言ってるんですか」

「あれ、乃愛ちゃん、つっくんの呼び名が伊織になったんだね。…あぁなるほどね」

ナッシーがニヤニヤして「ふぅん」とか言いやがる。

「…そうだけど、それが何か?」

「いや?良かったなぁ、って思ってさ」

「まぁな」


「…呼び方が変わったのが、そんなに良かったんですか?」
と乃愛が不思議そうな顔してる。

あぁ、乃愛はナッシーが言いたいことがわかってないんだな。

だからコソッと耳打ち。
「ナッシーは俺に、乃愛とセックスできる仲になって良かったね、つったの」

乃愛が火を吹きそうな勢いの赤い顔でバッ!とナッシーを見ると、ナッシーはにんまりと顔で返事をした。

「…な、なんで…」

「俺は自分からなんて言ってねぇよ?ま、ナッシーは長い付き合いだし感が鋭いからな、ちょっとした変化で気付くんだよな」

「そっそうなんだ…さすがですね」

「乃愛ちゃんもよかったね。結婚式には呼んでね」

「あっ、はい。もちろんです」

「やった!みんな~、つっくんと乃愛ちゃん、結婚するって~!」

「おおぉ!」
「やったな、九十九」
「おめでとさん!」
「余興で筋肉ショーやってやるよ!」

「いや余興でそれはねぇだろ。つうか、俺の可愛い乃愛に他の男の裸なんぞ誰が見せるか」

抱き寄せた乃愛を見つめながら「乃愛は俺だけ見てればいいからな?」と言うと、またもやボッと赤くなった。
ふ、こういうとこマジで可愛い。

「うわ!九十九からそんな言葉が出るとは思わなかったぜ!」
「ほんとほんと、九十九くんてそういうこと言うんだな」

「いや俺も初めて言った」

「乃愛ちゃん、すげーな。九十九をここまで変えるって」

「だよねぇ、ほんとつっくんは乃愛ちゃんと出逢ってから変わったもんね」

「いえ、私は何も…」

「そうだよ、乃愛が何かした訳じゃない。乃愛っていう存在が俺を変えただけだからな」

「マジか……なんか九十九じゃねぇみてぇだな…」
「だよな、こんな愛を語るヤツじゃなかったよな」

「はははっそうだな、俺もそう思う。あ、早く肉、食えよ。焦げるぞ」

「あ!それ俺の肉!」
「早いもん勝ち~」
「あ、お肉追加しますね。何がいいですか?」
「俺がするよ、乃愛はこいつらと喋んなくていいから」
「九十九ひでぇな、俺らも仲良く話したいんだって」
「乃愛、俺の隣にいろよ。こいつら、何するかわかんねぇし」
「変なことしねーって。筋肉見てもらうくらいで」
「だからそれがダメだっつぅの!」
「あはは、伊織、そんなこと言わないで?私も仲良くなりたいし」
「乃愛ちゃん、やさしー!」
「おい、軽々しく名前を呼ぶなって。乃愛、嫌なことされたらすぐに言えよ?」
「大丈夫だよ、伊織。ふふ、ありがとう」
「乃愛ちゃん、こっちおいでよー」
「何言って「あ、はーい」
「あっ!乃愛!?」
「つっくん、過保護すぎー」
「それなー、ワハハ!」


そんな賑やかな盛り上がりを見せて、筋肉野郎達の楽しい夜は更けていった。




「ただいまぁ。あーお腹いっぱい」

マンションに戻った乃愛と俺。

「あっ伊織、お食事代ありがとう。私が出すべきなのに、お二人にご馳走になっちゃって」

「ふ、いいんだよ。乃愛は」
俺は乃愛の頭をいいこいいこする。

「じゃあお風呂入って、大晦日の番組見よっか」

「そうだな」
なんて、おとなしくテレビ見る気はないけどな。


今年は…乃愛と出逢えて最高の年だったな。

来年は結婚…てことは、もっと最高の年になるじゃん。
ふ、楽しみしかねぇな。
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