見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
すると、高校生の暖仁くんが話しかけてきた。

「あのー、乃愛さんて5月の終わり頃、横浜に来ませんでした?」

「5月の終わり…あぁ…はい、来ました、ね」
宏哉の会社に…

「もしかして、横浜駅でカバンぶちまけた女の子の持ち物、拾ってました?」

「あー!はい、拾いました!…え、でも何でそれを…」

「その時、何人か一緒に拾ってましたよね」

「あっはい、そうでしたね、周りにいらした方々が拾ってました」

「そこに俺いたんです」

「えっ!あ…あの時にいた学生さんですか?」

「そうです」

「…よく私だってわかりましたね…あ、ごめんなさい、私、全然覚えてなくて…」

「いえ」

「だってハル、その時の乃愛ちゃんに一目惚れしたんだもんねー」

瑠那さんが暖仁くんの髪をわしゃわしゃしながら言う。

「ちょ、何でお母さんがバラすんだよ!」
真っ赤になった暖仁くん。


「帰ってきたと思ったら開口一番『天使がいた!』だもんねー。そっから捲し立ててまー喋る喋る。横浜駅で綺麗で可愛いお姉さんがいたー!って。また会いたいって言ってたもんね。よかったじゃん、また会えて。しかも伊織くんの奥さんだよ?」

まだわしゃわしゃしながら瑠那さんがニシシと笑いながら更にバラしちゃった。

「…会えたのは嬉しいけどさー、それじゃ付き合えねぇじゃん」

「そりゃあ奥さんだもん。そもそもその時から伊織くんの彼女だったんだろうし。って、あんた年上好きだったのね。まぁ相手が乃愛ちゃんなら気持ちもわからなくもないけど」


すると、むーっとした伊織が暖仁くんに近寄った。
「ハル、俺の乃愛を取るなよ?」

「取るも何も相手がおじさんなら勝てるワケねぇじゃん。…でも乃愛さんと親戚になるんだったら、たまにデートしたいなー。ねぇ乃愛さん、いーでしょ?甥っ子とだしさ」

「っえ?デート?」

「だーれがさせるか」
伊織が暖仁くんの額を指で小突いた。

「おじさんは黙ってて。ねぇ乃愛さん、俺まだ子供だし親戚だし安全圏じゃん?ね?いいよね?」

うっ…
高校生とはいえ、もう大人の男性と変わらない背格好で声も落ち着いた低めの声なのにこの言い方…
この子は男でありながら子供の立場の甘え方を知っているっぽい…

「えっと…」
立場的にYesともNoとも言えず返事に困っていると、暖仁くんの頭にペシーン!と瑠那さんの平手が飛んだ。

「ったくそんなのどこで覚えたのよ…。デートはダメよ。いくらあんたが子どもでも、伊織くんが泣くわよ?」

「いや…さすがに泣かないよね?」
あはは、って笑いながら伊織に言ったら「え、俺、乃愛が他の男とデートしたら泣くよ」ってさらりと言っちゃった。

だから「え、そうなの?まぁそんなことしないけど…」って普通に言うよね?

そしたら…

「ほら、乃愛はデートしないってさ。残念だったな、ハル」
ってニヤニヤのドヤ顔で言うもんだから、曇り顔になった暖仁くんがちょっと可哀想になっちゃって…

「あ…デートじゃないけど、みんなでお出かけとかしようか」
って提案したら、暖仁くんの表情がパアッと明るくなった。

「やった!絶対ね!約束ね!」
って、そんなとこは子どもみたいでかわいい。ふふっ。

「乃愛ちゃん、気を遣わせてごめんねぇ」
瑠那さんが手を合わせて申し訳なさそうに私に言ってくれたけど、私も仲良くしたいから、って笑顔で返した。


そんなほのぼのとした隣で、伊織がむうっとしてる…

え、一緒のお出かけでもソレなの?

「伊織?みんなでお出かけだよ?デートじゃないよ?」

「べっつに?妬いてねぇし」

…ヤキモチやいてる…かわいい…きゅん。


「いーおり?」
伊織の顔を覗き込む。

「…何」

「機嫌なおして?後で何でも言うこと聞いてあげるから、ね?」

でもまだご機嫌ナナメみたいな顔……

ふふ、かわいい。…きゅん
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